金沢市で土地を購入・売却しようとするとき、真っ先に知りたいのは「実際にいくらで取引されているのか」という一点です。不動産ポータルサイトの掲載価格は売り出し価格であり、実際に契約に至った取引価格とは乖離があります。本記事では国土交通省 不動産情報ライブラリの実取引データ(2022〜2026年Q1)と2026年公示地価を組み合わせ、金沢市の土地市場の実態を整理します。

交通アクセス・主要施設・進行中の再開発情報も合わせて掲載しており、エリア選定の参考にできます。


金沢市の地域概要と住環境

人口・都市規模

金沢市は石川県の県庁所在地で、人口は約46万人(推計)。北陸地方最大の都市機能を持ち、行政・医療・教育・商業の各拠点が集積しています。面積は467.77km²と広く、中心部の高密度エリアから山間・農村的な郊外まで多様な地区を含みます。

交通アクセス

鉄道

路線 主な駅 特徴
北陸新幹線 金沢駅 東京まで約2時間30分。2024年3月に敦賀まで延伸開業
IRいしかわ鉄道 金沢〜森本〜津幡〜倶利伽羅 元JR北陸本線。金沢〜津幡間約12分
北陸鉄道浅野川線 北鉄金沢〜内灘(14.6km) 金沢北東部・内灘方面へのアクセス

路線バス・市内交通

金沢市内の公共交通バスは北陸鉄道が主体で運行しています。金沢駅を起点に市内各地へ路線が延びており、中心部へのアクセスは金沢駅兼六園口バスターミナルが集約地点となっています。

観光客・生活者双方に利用されている城下まち金沢周遊バスは右回り・左回りの2ルートで、近江町市場・兼六園・21世紀美術館・ひがし茶屋街を結びます。運賃は1回220円(大人)、1日フリー乗車券は800円です。

また、金沢市公共シェアサイクル**「まちのり」**(ポート数100か所以上)は中心部での移動手段として定着しており、15分70円から利用できます。

道路

国道8号・国道157号・国道304号・国道359号が市内を通過し、金沢外環状道路(海側幹線・山側幹線)の整備が郊外住宅地と中心部を結んでいます。

主要医療機関

施設名 所在地区 特徴
金沢大学附属病院 宝町 特定機能病院。北陸最大規模の大学病院
独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)金沢病院 沖町 地域包括ケア・一般急性期
金沢市立病院 平和町 市立急性期病院、救急対応
石川県立中央病院 鞍月東(野々市市) 金沢市南西部から利用しやすい県立病院

金沢大学医学部・薬学部・保健学類があり、学生・研究者・医療従事者の住宅需要が一定量あります。

大学・教育機関

金沢大学(角間キャンパス・宝町キャンパス)、金沢工業大学(野々市市)、北陸大学、金城大学など複数の大学が周辺に立地しており、学生人口が賃貸需要を支える側面があります。

商業施設

施設名 エリア 概要
イオン金沢店 駅西新都心 市内最大規模の総合スーパー。衣食住を揃える
イオンタウン金沢示野 示野町 郊外型ショッピングタウン
金沢フォーラス(イオンモール) 武蔵町 金沢中心部のファッション商業施設
クロスゲート金沢 武蔵町 ホテル・飲食・地元店舗の複合施設(近年開業)
あんと館・rinto館 金沢駅構内 駅直結の土産・ファッション・スーパー(100BANマート)
近江町市場 青草町 鮮魚・野菜の市場。地元住民も利用

香林坊・片町エリアは北陸最大の繁華街として百貨店(大和・エムザ)・飲食店・アパレルが集積しています。


金沢市の土地取引価格統計(2022〜2026年Q1)

宅地(土地のみ)の取引価格推移

国土交通省 不動産情報ライブラリの石川県取引データから、金沢市の「宅地(土地のみ)」取引実績を集計しました。各四半期で55〜148件のサンプルが確保されており、石川県内で最もデータ信頼性が高いカテゴリです。

期間 中央値(万円/m²) P25 P75 サンプル数
2021年Q4 7.5 4.6 9.6 148
2022年Q2 7.2 4.8 10.0 118
2022年Q3 8.2 5.7 11.0 98
2022年Q4 7.7 5.3 9.8 146
2023年Q2 8.5 5.7 11.0 103
2023年Q4 7.9 4.5 9.9 115
2024年Q1 8.2 6.4 9.4 85
2024年Q4 8.0 5.3 10.0 140
2025年Q1 7.6 5.7 9.4 118
2025年Q2 8.0 6.4 9.6 108
2025年Q3 8.2 5.7 10.0 122
2025年Q4 8.3 5.5 11.0 96
2026年Q1 8.5 7.0 10.0 55

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ API(石川県・XIT001)

2021年Q4の7.5万円/m²から2026年Q1の8.5万円/m²へ、約4年半で13.3%上昇しています。四半期ごとの変動幅は±0.5万円/m²程度で大きな急騰・急落はなく、緩やかな上昇トレンドが続いています。

注目点: 2026年Q1はP25が7.0万円/m²と過去最高水準で、四分位レンジが7.0〜10.0万円/m²と比較的狭くなっています。ただしn=55と四半期で最も少ない(冬季の取引減が影響)ため、今後の四半期でサンプル数が増えると水準が変化する可能性があります。

宅地(土地と建物)の取引価格推移

「宅地(土地と建物)」は中古一戸建てを含む取引データで、建物評価額が加わるためm²単価は高めになります。

期間 中央値(万円/m²) P25 P75 サンプル数
2024年Q1 10.0 6.0 20.0 125
2024年Q4 9.1 5.9 16.8 121
2025年Q1 9.7 5.6 22.2 122
2025年Q2 9.7 6.7 20.0 153
2025年Q3 9.5 5.7 17.1 125
2025年Q4 10.9 6.9 21.5 129
2026年Q1 10.9 6.6 20.0 77

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ API(石川県)

「土地と建物」の中央値は9〜11万円/m²の範囲で推移しており、2025年Q4・2026年Q1は10.9万円/m²と本データ期間での高水準が続いています。P75値が20〜22万円/m²と高く、中心部・人気エリアの高価格帯取引が上振れを生んでいます。

中古マンション等の取引価格推移

期間 中央値(万円/m²) P25 P75 サンプル数
2024年Q4 29.4 10.8 45.3 33
2025年Q1 25.1 16.0 31.4 30
2025年Q2 25.3 16.7 37.5 35
2025年Q3 29.0 14.0 45.9 26
2025年Q4 26.7 15.3 47.7 27
2026年Q1 24.6 12.6 44.0 25

マンション取引は四半期あたり25〜40件程度と少なく、個別物件のグレード差による価格ばらつきが大きいことが特徴です。中央値は24〜29万円/m²の幅で変動しており、P75値が40万円/m²を超えることもあります(高額中古タワーマンション等の影響)。


2026年公示地価と取引相場の対比

2026年(令和8年)の公示地価では、金沢市全体の平均地価は14万7,836円/m²(前年比+2.86%)、住宅地平均は9万2,823円/m²(前年比+2.00%)、商業地平均は29万8,200円/m²(前年比+4.33%)となっています。

公示地価は標準地の「更地価格」を時点補正した官公庁の評価額であり、実際の取引価格とは異なります。参考として対比すると:

指標 金額(万円/m²) 備考
取引実績・宅地(土地のみ)中央値 2026Q1 8.5 実取引n=55
公示地価・住宅地平均 2026年 9.28 標準地評価額
取引実績・宅地(土地と建物)中央値 2026Q1 10.9 建物込み
公示地価・最高地点(本町2-16-16) 123.0 金沢駅前商業地

住宅地の公示地価平均(9.28万円/m²)と宅地取引実績中央値(8.5万円/m²)は近い水準にあり、整合性がとれています。取引実績は個別物件の状態・形状・接道条件を反映するため、公示地価より低い水準の取引事例が多いとも解釈できます。

金沢市の公示地価は11年連続で上昇しており、2016〜2025年の住宅地年平均成長率は約+4.43%です。2024年3月の北陸新幹線敦賀延伸開業により、金沢駅周辺の商業地(片町等)で+13.3%という高い上昇率が記録されました。

出典: tochidai.info(国土交通省公示地価集計)、北陸放送・北國新聞報道(2026年3月公表分)


エリア別価格帯と特性

金沢市は面積が広く、中心部・郊外・山間部で土地価格が大きく異なります。以下はエリア特性の概略です。

中心部・駅周辺(金沢駅・武蔵・香林坊・片町周辺)

北陸最大の繁華街が集積するエリアで、住宅地よりも商業地・複合用途の取引が多くなります。駅周辺の商業地は公示地価ベースで20〜123万円/m²と幅広く、住宅として利用できる宅地は極めて少なく、取引事例も限られます。

SUUMOの掲載土地データでは、金沢市全体の坪単価相場は**28.5万円/坪(約8.6万円/m²)**で、最多価格帯は20〜40万円/坪(404件、全体の約60%)となっています(2026年8月時点、676件掲載)。

金沢市東部・大学病院周辺(角間・宝町・泉野方面)

金沢大学(角間キャンパス)や金沢大学附属病院(宝町キャンパス)周辺は、学生・教職員・医療従事者の住宅需要が安定しています。山麓部に近いため、一部のエリアでは**A33(土砂災害警戒区域)**が指定されています。候補地の個別確認が必要です。

泉野・額・久安・若松など旧住宅団地エリアは、計画的整備の街区が多く、道路・インフラが比較的整備されています。

金沢市西部・駅西新都心エリア

金沢駅西口(金沢港方面)は1990年代以降に整備が進んだ新興住宅・商業エリアです。イオン金沢店(総合スーパー)が立地し、居住地として整った生活環境があります。日本海に近い低地部分では**A40(津波浸水想定)**の確認が必要です。

2024年1月の能登半島地震(最大震度7)の後、国土交通省は石川県沿岸部の津波浸水想定を見直しており、金沢市の海岸沿いエリアの一部でも想定区域が更新されています。購入前にハザードマップポータルの最新版で確認することを推奨します。

金沢市南部・南部環状ルート沿い(馬替・野田・神田エリア)

国道8号バイパスや金沢外環状道路(山側幹線・海側幹線)に沿った住宅地で、イオンタウン金沢示野などの郊外型商業施設が複数立地します。車通勤が主体の世帯に向いており、土地面積が比較的広い物件が多いのが特徴です。

金沢市北部・浅野川周辺(東・泉・問屋町エリア)

金沢市北部は住宅地と工場・流通施設が混在するエリアです。北陸鉄道浅野川線沿線は住宅地が続き、JCO(JCHO)金沢病院もこのエリアに位置します。


周辺市との価格比較(2025年Q4・宅地土地のみ)

金沢市と隣接する市・町の土地取引価格を比較します。

市区町村 中央値(万円/m²) P25 P75 サンプル数
金沢市 8.3 5.5 11.0 96
野々市市 7.9 4.5 10.0 26
河北郡内灘町
白山市 4.8 2.1 7.3 48
かほく市 3.2 0.9 4.7 24
河北郡津幡町 2.0 0.3 3.1 10
能美市 2.1 0.2 3.4 5
小松市 1.4 1.1 3.0 47

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ API(石川県、2025Q4)

金沢市(8.3万円/m²)を100とした場合の指数:

  • 野々市市: 約95(金沢市内でも人気が高い住宅地。SUUMO掲載相場では金沢市を上回る32.5万円/坪と逆転する面もある)
  • 白山市: 約58(金沢市南部と連続した生活圏だが地価は大幅に低い)
  • かほく市・津幡町: 約24〜39(通勤圏だが生活利便性は金沢市に劣る)
  • 小松市: 約17(工業団地周辺の取引が多く含まれるため、純粋な住宅地に限定すると異なる水準になる可能性がある)

野々市市はSUUMOの掲載相場(坪単価32.5万円)では金沢市(28.5万円)を上回っており、金沢市に隣接しながら住宅需要が集中する様子が価格に反映されています。


進行中の再開発・都市計画

片町四番組海側地区 市街地再開発事業

金沢市の中心繁華街・片町二丁目において、野村不動産が事業協力者として参加する大型再開発事業が進行中です。

項目 内容
所在地 金沢市片町二丁目(金沢駅から約2km)
施行区域面積 約0.4ha
延べ床面積 約18,000m²
主要用途 商業・住宅・ホテル・駐車場
都市計画決定 2024年7月1日
着工予定 2027年度(解体・新築)
竣工予定 2030年度

2025年度に再開発組合の設立認可、2026年度に権利変換計画認可を経て、2027年度に着工の予定です。片町エリアは2026年公示地価で商業地+13.3%という高い上昇率を記録しており、周辺の不動産市場への波及効果が注目されます。

出典: 健美家(2024年掲載)、野村不動産プレスリリース(2024年7月2日)

北陸新幹線の延伸計画

2024年3月に開業した敦賀延伸に続き、敦賀〜新大阪間の延伸についても2024年8月に小浜市・京都駅・京田辺市を経由するルート案が公表されました。最短で2025年度の着工・25年間の工期が想定されています。延伸が実現した場合、金沢の広域交通拠点としての地位がさらに強化される可能性があります。

出典: 鉄道・運輸機構(JRTT)、健美家(2024年11月掲載)

金沢市都市計画マスタープラン

金沢市は「保存と開発の調和」をまちづくりの基本方針としており、金沢港〜金沢駅〜片町を結ぶ「都心軸」に沿った商業・業務機能の集積と、金沢港周辺の活性化を継続的に推進しています。

出典: 金沢市公式ホームページ(都市計画課)


土地購入・売却前に知っておくべきポイント

坪単価と総額の計算方法

取引統計はm²単価(万円/m²)で表示されています。住宅用地の取引に直す際は以下を参考にしてください。

計算例(宅地・土地のみ 中央値8.5万円/m²の場合)

  • 150m²(約45坪)の宅地: 8.5 × 150 = 1,275万円
  • 200m²(約60坪)の宅地: 8.5 × 200 = 1,700万円
  • 250m²(約76坪)の宅地: 8.5 × 250 = 2,125万円

これはあくまでも中央値をもとにした目安です。実際の価格は立地・形状・前面道路・用途地域・インフラ状況などによって大きく変わります。P25(5.5〜7.0万円/m²)の水準であれば上記より2〜3割低く、P75(10〜11万円/m²)水準では2〜3割高くなります。

ハザードリスクの確認方法

金沢市内で確認が必要な主なハザード:

  • A33(土砂災害警戒区域): 東部の山麓エリア(医王山・戸室山周辺など)に指定。建築制限を伴う区域あり
  • A40(津波浸水想定): 日本海沿岸(駅西・大野エリア等)。2024年能登半島地震後に想定区域が見直し中
  • 洪水浸水想定区域: 犀川・浅野川の流域で指定あり。金沢市は令和元年(2019年)の浅野川氾濫を経験

確認先: 国土交通省ハザードマップポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/ )および金沢市防災ハザードマップ(市公式サイト内)

用途地域と建築規制

同じ「金沢市内」でも用途地域によって建蔽率・容積率・建築可能な用途が異なります。住宅地として利用する場合は第一種低層住居専用地域(建蔽率40〜60%、容積率60〜150%程度)が多く、商業系用途地域に近づくほど容積率が高くなり取引価格も上がります。

インフラ確認のポイント

郊外・農転地では以下の確認が必要です:

  • 上水道・公共下水道の接続可否(農業用水との混同注意)
  • ガス(都市ガス)の引込可否(プロパンのみのエリアあり)
  • 私道・位置指定道路か否か(私道の場合は維持管理費用や掘削承諾が必要)
  • 農地転用が完了しているか(青地・白地の別)

よくある質問

Q: 金沢市で100〜150坪(330〜495m²)の土地を探す場合、予算はどのくらいか?

A: 実取引統計の中央値(8.5万円/m²・2026Q1)をもとにすると、330m²で約2,800万円、495m²で約4,200万円が目安となります。郊外・西部・南部では中央値よりP25水準(7.0万円/m²)に近い物件も多く、同条件で2,300〜3,500万円のレンジも存在します。実際のSUUMO掲載物件では金沢市全体で676件(2026年8月時点)が確認でき、20万円/坪以下(約6万円/m²)の物件が185件(約27%)存在します。

Q: 金沢市の土地価格は今後も上昇を続けるのか?

本記事は将来価格の予測を行いません。現状の傾向として、公示地価は11年連続上昇中(2026年+2.86%)で、北陸新幹線効果・インバウンド回復・能登半島地震後の金沢集中が上昇を支える要因となっています。一方、人口の緩やかな減少・郊外の土地供給継続・金利動向など下押し要因も存在します。実際の売買判断は宅地建物取引士にご相談ください。

Q: 能登半島地震(2024年1月)は金沢市の土地市場にどう影響したか?

A: 2024年1月1日の能登半島地震(最大震度7)は輪島市・珠洲市・七尾市・穴水町で甚大な被害をもたらしました。金沢市は震度5弱〜5強で比較的軽微でしたが、被災地からの移住・2次避難需要が金沢市の賃貸市場・売買市場に一時的な需要増をもたらしたと見られています。2024年Q1〜Q2の取引中央値が8.1〜8.2万円/m²と比較的高い水準を示した背景の一因として考えられます。金沢市の市場はその後も上昇基調を維持しています。


まとめ

金沢市の宅地(土地のみ)取引中央値は2026年Q1に8.5万円/m²(P25=7.0、P75=10.0、n=55)を記録し、2021年Q4(7.5万円/m²)比で約13%の上昇となっています。公示地価(2026年住宅地平均9.28万円/m²、前年比+2.00%)も11年連続の上昇を示しており、北陸新幹線開業効果と都市機能集積が価格を下支えしている状況です。

エリアによる価格差は大きく、P25〜P75の四分位レンジ(7.0〜10.0万円/m²)の幅で取引の半数が分布します。中心部・駅周辺の高価格帯から、南部・郊外の手頃な水準まで、同じ「金沢市内」でも立地によって異なる判断が必要です。

周辺市では野々市市が約7.9万円/m²と金沢市に近く、白山市は4.8万円/m²と半分程度の水準です。

土地購入においては、取引統計をエリア相場の大まかな参考とした上で、用途地域・ハザード情報・インフラ整備状況・境界確定の有無を個別に確認することが重要です。


出典・参考情報

本記事は参考情報です。実際の取引判断は宅地建物取引士にご相談ください。