石川県でマンション購入を検討しているとき、「金沢市内でどのエリアを選ぶべきか」「中古と新築では価格差がどの程度か」「北陸新幹線の延伸で相場はどう動いたのか」という疑問が次々に湧いてくるはずです。ポータルサイトに掲載されている物件価格だけを見ても、相場全体の位置づけや時系列の動きは見えてきません。

本記事では、国土交通省 不動産情報ライブラリAPIの石川県取引統計(2021年〜2026年Q1)と複数の市場情報ソースをもとに、金沢市・白山市・小松市の中古マンション等価格動向を整理します。あわせて2024年3月の北陸新幹線敦賀延伸の影響、金沢市内のエリア別価格差、新築マンションの供給状況、片町の再開発計画まで網羅し、石川県でマンション購入を検討している方が最初に把握すべき情報を一覧できるようにしました。

なお、本記事が対象とする主要データは「中古マンション等」の実際の取引事例です。新築マンションの価格は個別事業者から直接確認が必要なことを最初にお断りしておきます。また、2024年1月1日に発生した能登半島地震は石川県全域の不動産市場に影響を与えており、特に被災地の七尾市・輪島市・珠洲市等では市況解釈に注意が必要です。金沢市については本記事で詳述しますが、能登半島エリアの詳細は別記事をご参照ください。


全国マンション市場の概観

全国不動産価格指数の推移

国土交通省が公表する不動産価格指数(2010年=100)によると、マンション(区分所有)の全国指数は2010年代から一貫して上昇基調を続け、2025年には217.8に達しました。基準年2010年と比較して約2.2倍の水準です。

マンション価格指数(全国・2010=100) 住宅総合(全国)
2015年 121.0 104.9
2018年 141.5 112.1
2020年 153.4 113.9
2021年 165.2 120.7
2022年 182.1 130.9
2023年 191.4 134.8
2024年 202.5 138.6
2025年 217.8 144.7

出典: 国土交通省 不動産価格指数(月次・年次集計)

2021年以降、マンション価格指数の上昇ペースが加速しています。資材費・人件費の高騰が新築マンション価格を押し上げ、その影響が中古マンション市場にも波及しました。2025年のマンション価格指数は前年比+15.3ポイントと近年でも特に高い伸びとなっており、住宅総合指数(住宅地・戸建て等を含む)の伸びと比較してもマンション区分の上昇が突出しています。

住宅地との比較

住宅地の標準価格変化率は2024年に全国平均+0.9%にとどまっており、マンション指数の年間数〜十数ポイント上昇と大きな差があります。石川県は金沢市中心部以外で人口減少が続いており、住宅地価格の上昇は限定的なエリアに集中しています。マンション市場においても、金沢市都心部と郊外・地方都市では市況が大きく異なります。


石川県主要市のマンション取引価格統計(2021〜2026年Q1)

国土交通省 不動産情報ライブラリAPIの石川県取引データをもとに、四半期別の中古マンション等中央値を整理しました。サンプル数が少ない期間(n<5)は統計的信頼性が低いため、参考値として扱ってください。

金沢市の中古マンション価格推移

金沢市は石川県内で最もマンション取引事例が多く、四半期あたり20〜40件のサンプルが確保されているケースが多い、相対的に信頼性の高いデータです。

期間 中央値(万円/m²) P25(万円/m²) P75(万円/m²) サンプル数
2021年Q4 24.0 13.5 31.1 47
2022年Q1 18.7 12.2 31.1 35
2022年Q2 21.4 16.2 33.3 29
2022年Q3 22.0 15.3 33.3 18
2022年Q4 23.4 15.6 35.4 28
2023年Q1 17.2 9.7 28.8 40
2023年Q2 24.0 17.6 32.3 19
2023年Q3 14.2 9.5 29.2 34
2023年Q4 20.8 14.3 33.3 26
2024年Q1 26.7 12.8 38.9 23
2024年Q2 23.6 12.6 44.7 40
2024年Q3 24.6 12.4 32.5 26
2024年Q4 29.4 10.8 45.3 33
2025年Q1 25.1 16.0 31.4 30
2025年Q2 25.3 16.7 37.5 35
2025年Q3 29.0 14.0 45.9 26
2025年Q4 26.7 15.3 47.7 27
2026年Q1 24.6 12.6 44.0 25

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ API(石川県)

全体の傾向: 2021年Q4の24.0万円/m²を起点に、2024年Q4には29.4万円/m²(本データ期間中の最高値)まで上昇しました。最新の2026年Q1は24.6万円/m²と、2024年Q4比でやや落ち着いた水準です。

四半期変動の大きさ: 2023年Q3に14.2万円/m²まで落ち込んだ一方、2024年Q4には29.4万円/m²と、同一年内でも大きな振れが見られます。取引件数が20〜40件規模のため、特定の高額物件・低額物件が加わるだけで中央値が動きやすい点に注意が必要です。

P75値の拡大傾向: 上位25%の境界値(P75)が2024年以降に40〜48万円/m²台へ拡大しており、高付加価値物件・都心立地物件の取引が市場の上部を押し上げています。一方でP25値(下位25%境界)は10〜17万円/m²台にとどまっており、取引価格のレンジが非常に広い特性を示しています。中央値だけで「金沢市のマンション価格は〇万円/m²」と評価するには限界があります。

白山市の中古マンション価格

白山市のマンション取引事例はサンプル数が少なく、有意なデータが揃う期間が限定的です。

期間 中央値(万円/m²) P25 P75 サンプル数
2023年Q1 12.2 8.5 18.2 4
2023年Q2 12.5 10.8 21.1 3
2023年Q4 11.1 10.0 13.5 4
2025年Q4 11.3 3.6 14.5 5
2026年Q1 7.0 6.4 7.5 2

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ API(石川県)

サンプル数が2〜5件と極めて少なく、個別物件の特性が中央値に直接影響します。金沢市の中央値(2025年Q4で26.7万円/m²)と比べると半額以下の水準ですが、この差はエリア特性や物件グレードの違いを反映しています。白山市は2024年3月の北陸新幹線延伸に伴い、IRいしかわ鉄道に「西松任駅」が新設され(1日約1,900人の利用者を見込む)、駅周辺で宅地開発が進んでいます。ただし、マンション棟数自体は少ない状況が続いており、供給面での変化がデータに現れるには時間がかかる見込みです。

小松市の中古マンション価格

小松市もサンプル数が極めて少ない状況です。

期間 中央値(万円/m²) P25 P75 サンプル数
2022年Q4 3.3 1.1 7.6 3
2023年Q1 7.0 6.0 8.0 2
2023年Q4 8.1 7.2 8.9 2
2024年Q1 10.4 8.9 12.0 2
2024年Q3 12.3 10.4 25.0 4
2025年Q1 9.6 6.5 38.7 3
2025年Q4 9.0 6.0 12.0 2

出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ API(石川県)

2022年Q4から2024年Q3にかけての大きな変動(3.3→12.3万円/m²)は、サンプル数が2〜4件と少ないため統計的ノイズが主因と考えられます。小松市は小松空港・コマツ(建設機械)の企業城下町という産業特性を持ちますが、マンション市場のサンプル数からみてもマンション棟数は限定的です。2024年3月の北陸新幹線延伸で小松市に新幹線「小松駅」が開業し交通利便性は高まりましたが、マンション市場への直接の影響はまだ統計上確認しづらい状況です。


金沢市のエリア別マンション価格と特性

エリアによる価格差

金沢市内では、マンションの立地するエリアによって取引価格水準が大きく異なります。不動産情報サイトの掲載データを参考にすると(2025年時点、参考値)、以下のようなエリア差が確認できます。

エリア 平均売却価格(参考) 平米単価(参考) 特徴
武蔵ヶ辻・香林坊 約2,929万円 43.3万円/m² 商業文化の中心地、バス便が最も充実
金沢駅周辺 約2,979万円 38.9万円/m² 新幹線・在来線ハブ、交通利便性が最高
県庁・西金沢 約2,430万円 34.1万円/m² 行政施設集積、子育て環境整備が進む
城北・泉が丘 1,500〜1,600万円程度 ファミリー向け住宅街、学校・公園充実

出典: 金沢不動産売却センター掲載データを参考に整理(https://www.kanazawa-satei.com/blog/entry-696753/、参考値

上記の平均売却価格はポータルサイト掲載物件をベースにした参考値であり、国土交通省取引データとは集計方法が異なります。エリア間の水準差の把握に活用してください。

武蔵ヶ辻・香林坊エリアは兼六園・長町武家屋敷跡が徒歩圏内にある金沢市の商業・文化の核です。平米単価は市内で上位のレンジにあり、北鉄バスの路線が集中するため自動車なしでも生活しやすい立地として支持されています。

金沢駅周辺は北陸新幹線・IRいしかわ鉄道・のと鉄道の拠点です。駅東口には百番街が、駅西口にはアリオ金沢(鞍月)への接続があり、商業集積が続きます。一方、駅西口に2024年9月まで立地していたフォーラスは閉店しており、跡地活用の動向が今後の注目点です。

城北・泉が丘エリアは公立学校・医療機関・スーパーが集まるファミリー向け住宅街で、価格は市内中心部より低い水準にとどまります。


金沢市の交通アクセス

鉄道・新幹線

金沢市の公共交通の核は**北陸新幹線「金沢駅」**です。2024年3月16日に金沢〜敦賀間が延伸開業し、石川県内では金沢に加え小松・加賀温泉の2駅が新幹線停車駅となりました。主要区間の所要時間の目安は以下の通りです。

路線・区間 所要時間(目安)
北陸新幹線 金沢〜東京(はくたか等) 約2時間30分
北陸新幹線 金沢〜敦賀(新幹線)+サンダーバード 敦賀〜大阪 約2時間50分
IRいしかわ鉄道 金沢〜津幡 約15分
IRいしかわ鉄道 金沢〜小松 約30分
北陸鉄道浅野川線 北鉄金沢〜内灘 約25分

金沢市内の鉄道路線はIRいしかわ鉄道(旧JR北陸本線)と北陸鉄道浅野川線に限られており、市街地のほとんどの移動はバスが主要交通手段です。

バス交通

北陸鉄道バスが金沢市内の路線バスを担い、武蔵ヶ辻・香林坊・金沢駅を結ぶ系統が多数運行されています。主なサービスは以下の通りです。

  • 城下まち金沢周遊バス: 金沢駅発着で市内主要スポットを結ぶ観光・生活兼用バス(大人220円/乗、右回り・左回りの2ルート)。2025年4月の再編でGPS連動多言語ガイドシステム(日・英・中文簡体・繁体)を導入
  • まちバス(100円バス): 2008年開始のワンコイン100円バスが2025年3月31日に運行終了。後継として「金沢ショッピングバス」が2025年4月から運行開始
  • 郊外路線: 金沢大学角間キャンパスや各住宅街への路線が多数

出典: 北陸鉄道 ニュースリリース(2025年3月)https://www.hokutetsu.co.jp/_wp/wp-content/uploads/2025/03/news_release_03042025.pdf

マンション選びにおいてはバス停への徒歩距離が実生活の利便性に直結します。市内中心部(武蔵ヶ辻・香林坊・金沢駅周辺)のマンションはバス便が充実していますが、郊外住宅街に近いエリアではバスの本数が少なくなるため、物件選定時に路線・本数を確認することが重要です。


主要施設・生活環境

医療機関

金沢市は北陸エリアの医療拠点として、大規模病院が集積しています。

  • 金沢大学附属病院(宝町13-1) — 北陸最大規模の大学病院、高度専門医療を担う
  • 国立病院機構 金沢医療センター(下石引町) — 地域の中核病院
  • 金沢市立病院(平和町) — 救急・総合診療
  • KKR北陸病院(兼六元町) — 総合病院
  • 金沢医科大学病院(河北郡内灘町) — 金沢市隣接

大学病院・基幹病院周辺は医療従事者・関連職員の居住需要が安定して存在します。

大学・教育機関

  • 金沢大学(角間キャンパス) — 学生・教職員が生み出す賃貸需要が大きい
  • 金沢工業大学(野々市市、金沢市隣接)
  • 金城大学(末町) — キャンパス周辺に単身者向け需要

商業施設

  • アリオ金沢(鞍月) — 金沢市北西部の大型ショッピングセンター
  • めいてつ・エムザ(武蔵) — 市中心部の百貨店
  • 金沢フォーラス — 2024年9月に閉店(金沢駅西口の核テナント撤退、跡地活用が今後の注目点)
  • イオンモール白山(白山市) — 石川県内最大規模の郊外型ショッピングモール

文化・観光資源

「小京都」と呼ばれる金沢市は兼六園・金沢城公園・ひがし茶屋街・長町武家屋敷といった国内外に知られた観光資源を持ちます。インバウンド観光の回復・増加が市内の宿泊・商業需要を支えており、これが中心部の不動産需要の底支え材料の一つとなっています。


新築マンション供給状況と再開発動向

直近の新築マンション供給事例

金沢市内での新築マンション供給は年間数十〜100戸程度と限られており、首都圏と比べてはるかに少ない市場です。2025〜2026年に販売・竣工が確認できる主な事例は以下の通りです。

ユニハイム エクシア金沢梅ノ橋(石川県金沢市並木町3番1号)

  • 販売事業者: ヤマイチ・ユニハイムエステート(金沢市初の「ユニハイム」シリーズ)
  • 規模: 9階建、全31戸(管理事務所別)
  • 間取り: 1LDK〜2LDK、専有面積45.31〜61.44m²
  • 価格帯: 3,448万円〜5,498万円(第1期2次時点)
  • 竣工予定: 2026年8月下旬
  • アクセス: IRいしかわ鉄道「金沢」駅徒歩26分
  • 特徴: 全邸角住戸設計、浅野川・梅ノ橋の水景または兼六園の緑景を望む「水景プラン」「緑景プラン」、ZEH-M Oriented認定、加賀五彩「黄土」を基調とした和モダン外観、内廊下設計

出典: SUUMO掲載情報(https://suumo.jp/ms/shinchiku/ishikawa/sc_kanazawa/nc_67736083/

ジオ金沢近江町(石川県金沢市下近江町)

  • 販売事業者: 阪急阪神不動産
  • 規模: 10階地下1階建、全26戸
  • 竣工: 2023年2月(既竣工物件)
  • アクセス: IRいしかわ鉄道「金沢」駅徒歩14分
  • 参考価格: 3LDK・75.1m²で4,850万円前後の流通事例あり(中古市場)

上記2物件の価格帯(3,400〜5,500万円)は、国土交通省取引データの金沢市中古マンション中央値(24〜27万円/m²)のP75以上に位置する高価格帯に相当します。新築供給はグレード・立地ともに市場上位の位置づけです。

片町四番組海側地区 市街地再開発事業

金沢市の中心商業地・片町で、大規模な複合再開発が都市計画決定されています。

  • 都市計画決定: 2024年7月1日(金沢市告示)
  • 事業種別: 第一種市街地再開発事業
  • 事業協力者: 野村不動産
  • 対象敷地: 約0.4ヘクタール
  • 延床面積: 約18,000m²
  • 用途構成: 商業・住宅・ホテル・駐車場の複合施設
  • スケジュール:
    • 2025年度: 再開発組合設立認可(目標)
    • 2026年度: 権利変換計画認可
    • 2027年度: 既存建物解体・新築工事着工
    • 2030年度: 竣工予定

この再開発は兼六園・武家屋敷から金沢駅に至る都市軸上の片町に位置し、老朽化した建物を更新しながら商業・居住機能を再整備するものです。住宅用途を含むため、竣工後には中心部への新たなマンション供給源となる可能性があります。

出典: 健美家(https://www.kenbiya.com/ar/ns/region/shinhoku/8174.html )、野村不動産プレスリリース(2024年7月)https://www.nomura-re.co.jp/cfiles/news/n2024070202463.pdf

景観条例による供給制約

金沢市は独自の景観条例(「金沢市における美しい景観のまちづくりに関する条例」)と高度地区指定を組み合わせ、エリアごとに建物の最高高さ制限を設けています。歴史的市街地周辺では制限が厳しく、大型マンションを建設できないエリアが存在します。この規制は将来にわたって中心部のマンション供給量を抑制する構造的な要因の一つです。


価格に影響する地域特性

北陸新幹線延伸の影響

2015年3月の長野〜金沢間開業では東京〜金沢が約2時間30分となり、首都圏からの移住・セカンドハウス需要が生まれ始めました。インバウンド観光の急増も重なり、金沢市中心部の不動産は上昇圧力を受けました。

2024年3月の金沢〜敦賀間延伸では石川県内に小松駅・加賀温泉駅(加賀市)の2新幹線駅が加わりました。白山市御立地区のIRいしかわ鉄道「西松任駅」(1日約1,900人の利用者を見込む)も同時開業し、金沢市ベッドタウンとしての白山市のアクセスが向上しています。

今後の大阪延伸(現時点で整備計画段階、開業時期未確定)が実現すれば、金沢が東京・大阪の双方から約2時間台で結ばれる中継拠点となり、ビジネス・移住需要のさらなる拡大が期待されます。ただし現時点で開業時期の確定情報はなく、不動産価格への影響を定量的に予測することは困難です。

出典: 健美家「北陸新幹線の金沢ー敦賀間が延伸開業」https://www.kenbiya.com/ar/ns/region/shinhoku/7823.html

能登半島地震(2024年1月1日)の影響

2024年1月1日に発生した能登半島地震(最大震度7、輪島市・珠洲市・七尾市等で甚大被害)は、石川県全体の不動産市場に影響を与えました。七尾市・輪島市等の被災地では取引が激減した一方、地震被害が相対的に少なかった金沢市では「安全な都市部への需要集中」として取引増加の動きが一部で観察されました。

2026年Q1時点でも被災地の復興は途上段階です。国土交通省データでは輪島市・七尾市の「中古マンション等」はサンプルが確保できていない状況が続いており、能登エリアのマンション市場は統計的に把握が困難な状態にあります。

人口動態と空き家率

金沢市の人口は2026年時点で約44.8万人ですが、2050年には約40.3万人(推計)と約10%の減少が見込まれています。石川県全体の空き家率は15.6%(2023年)、金沢市単体でも14.8%と全国平均13.8%をやや上回る水準です。

人口減少が続くなかで、マンション需要が集中するのは交通利便・生活利便の高い都心部エリアです。郊外の戸建て住宅地では空き家の増加と地価の軟化が続く可能性があり、マンションと戸建てで市況の乖離が生じやすい構造となっています。

出典: まちずかん 金沢市人口動態(https://machizukan.jp/area/石川県/金沢市/人口動態


時系列でみる価格トレンドと転換点

2021〜2026年Q1の動向

金沢市の中古マンション中央値を全期間(2021Q4〜2026Q1)でみると、以下の4局面が読み取れます。

2021年Q4〜2022年: 24万円台で安定 2021年Q4の24.0万円/m²を起点に、2022年は18.7〜23.4万円/m²の範囲で推移しました。全国的な低金利環境と北陸新幹線の話題性を背景に、底堅い相場が続いた時期です。

2023年: 変動が大きい(14.2〜24.0万円/m²) 2023年Q3に14.2万円/m²と本データ期間中の最低値を記録した一方、Q2には24.0万円/m²と高値もあり、同一年内でも大きな振れ幅となりました。サンプルの構成変化(小面積・築古物件の比率変化)が主因と考えられます。

2024年: 能登地震後に高値更新(29.4万円/m²) 2024年Q1(26.7万円/m²)を経て、Q4には29.4万円/m²と本データ最高値を記録しました。能登半島地震後の都市部需要集中と全国的なマンション価格上昇トレンドが重なった時期です。北陸新幹線の敦賀延伸(2024年3月)も金沢への注目度を維持する材料となりました。

2025年〜2026年Q1: 25〜29万円台を往来、最新は24.6万円/m² 2025年Q1(25.1万円/m²)→Q3(29.0万円/m²)→Q4(26.7万円/m²)→2026年Q1(24.6万円/m²)と変動しながらも、全体として2022〜2023年より高い水準を維持しています。P75値(上位25%境界)は44〜48万円/m²台と拡大しており、高付加価値物件が市場の上部を引き上げています。

全国マンション価格指数との連動性

全国マンション価格指数が2022年から2025年にかけて182.1→217.8と約20%上昇したのに対し、金沢市の中古マンション中央値は2022年Q4の23.4万円/m²から2025年Q4の26.7万円/m²と約14%の上昇です。全国指数の上昇ペースより緩やかな伸びは、首都圏・大都市が全国平均を大きく牽引していることを示唆しています。


マンション購入を検討する際に知っておくべきポイント

よくある疑問と確認事項

Q. 金沢市で予算3,000万円台のマンションを探すとしたら?

エリア別参考データ(2025年時点)をみると、金沢駅周辺・武蔵ヶ辻では平均単価が38〜43万円/m²台と高く、予算3,000万円だと専有面積が70m²を下回るケースが多くなります。一方、城北・泉が丘周辺では1,500〜2,000万円台の事例もあり、エリア選択が予算内での面積確保に大きく影響します。

Q. 中古と新築の選び方は?

金沢市の新築マンション供給は年間数十〜100戸程度と限られており、立地・グレードの選択肢は少ないのが現状です。確認できた2025〜2026年竣工の新築事例(ユニハイム エクシア金沢梅ノ橋)の価格帯は3,448〜5,498万円と国土交通省取引データのP75以上の水準にあります。中古市場は選択肢が多い分、築年数・管理費・修繕積立金の蓄積状況・大規模修繕計画の確認が不可欠です。

Q. ハザードリスクは?

金沢市東部の山際エリアには土砂災害警戒区域(A33)の指定があります。市内マンションは主に平坦地に立地するため土砂災害リスクは限定的ですが、日本海沿岸部では津波想定区域(A40)の指定があります。2024年能登半島地震を契機に津波想定の見直しが石川県沿岸で進んでいるため、沿岸部物件は最新のハザードマップを必ず確認してください。

データの読み方と限界

「中古マンション等」の定義: 国土交通省データの「中古マンション等」には区分所有の中古マンション以外にテラスハウス等が含まれる場合があります。新築マンションの取引は別計上のため、本記事のデータには含まれていません。

四半期ごとの変動幅: 取引件数が20〜40件規模のため、特定の高額物件・低額物件1〜2件の追加で中央値が数万円/m²動くことがあります。1四半期のデータだけで判断せず、複数期間の傾向を参照することを推奨します。

境界時点: 本統計は令和2年(2020年)国勢調査ベースの市区町村境界を使用しています。

購入前に参照すべき情報源

  • 国土交通省 不動産情報ライブラリ — 個別物件の取引事例を検索可能(www.land.mlit.go.jp/webland/)
  • 金沢市ハザードマップ — 土砂災害・洪水・津波の最新ハザード情報(金沢市公式サイトで公開)
  • 石川県地価情報 — 地価公示・地価調査の参照(ishikawa-chika.com)
  • SUUMO等の不動産ポータルサイト — 市場に出ている物件の価格水準を継続的にモニタリング
  • 宅地建物取引士への相談 — 法令上の重要事項説明(第35条)と個別物件の適正価格判断

まとめ

石川県のマンション市場は金沢市に取引が集中しており、中古マンション等の取引中央値は2021年Q4の24.0万円/m²から2026年Q1の24.6万円/m²へと推移しています。2024年Q4には29.4万円/m²とデータ期間中の最高値を記録した後、やや落ち着いた水準で推移中です。

金沢市内ではエリアによる価格差が大きく、武蔵ヶ辻・香林坊エリアの参考単価43万円/m²台から城北・泉が丘の15〜20万円/m²台まで幅があります。北陸新幹線の利便性向上、景観条例による供給制約、2024年能登半島地震後の都市集中需要が複合的に絡み合って現在の市況を形成しています。

片町四番組海側地区の再開発(2030年竣工予定)は、中心部への住宅供給増に向けた中長期の注目点です。白山市・小松市はサンプル数が少なくデータの信頼性に限界があるため、個別の参考値として扱ってください。

マンション価格は築年数・立地・管理状況・グレードによって個別差が非常に大きく、本記事のデータはエリア全体の傾向把握に活用し、個別物件の判断には宅地建物取引士への相談を組み合わせることを推奨します。


出典・参考情報リスト

本記事は参考情報です。実際の取引判断は宅地建物取引士にご相談ください。